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挑戦できること

誰も挑戦したことがない分野の研究開発に、とことん打ち込める環境があるのも、フェアリーデバイセスの特徴です。
さまざまなプロジェクトに参画するなかで、私たちはIPA(独立行政法人情報処理推進機構)の事業のひとつ「未踏事業」にも挑戦しています。
未踏事業とは、ソフトウェア関連分野において独創的なアイデアや技術を持つ若いクリエータの発掘・育成を目的とした事業です。

フェアリーデバイセズでは、ヴァイオリンの自動演奏装置”GHOST PLAY”が、この未踏事業として採択されました。
そして、学生時代からメディアアート作品のソフトウェア開発に携わっていた、ある若い研究開発者がこのプロジェクトに挑むことになったのです。

GHOST PLAY(未踏事業)研究開発者の挑戦

”未踏事業”に挑む!

突然の依頼

「ヴァイオリンの自動演奏装置の開発プロジェクトを進めてほしい」と藤野社長から告げられたのは、私が入社して間もなくのことでした。
突然のお達しに最初は驚きましたが、学生時代に私は電子楽器などメディアアート作品のソフトウェア開発に携わっており、それを評価していただけたことからこのプロジェクトに参画できたのではないかと思います。
とはいえ、ヴァイオリンを触るのは生まれて初めて。不安もありましたが、プロジェクトをそのまま任せてもらえるという責任感と、チャレンジしてみたいという情熱が私のなかで徐々に芽生えていきました。

社員写真

憂悶(ゆうもん)

ヴァイオリンは電子楽器とは違いアコースティック楽器であり、周辺環境によって物理的に変化するものです。例えば、弓の毛は湿度変化で大きく伸び縮みします。当初は、こうした変化を気にせず運弓するソフトウェアを開発していたのですが、同じパラメータ列にも関わらず動作させるたびに違う音が鳴り、原因を探るのが大変でした。
その時々で変わるヴァイオリンの性質をセンシングし、それに追随するようなソフトウェアを構築するには、どうすればよいか。海外のさまざまなヴァイオリン研究の論文を参考にしつつ、試行錯誤しながら開発を進めていきました。社内にヴァイオリンを何十年と演奏されている方もいて、その方のアドバイスで奏法を改良できたことが何度もありました。いろいろな方が興味を持って応援してくださるのが、とても励みになりましたね。

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機械しかできない奏法

ごく初歩的な動作であっても、実際のハードウェアが動くというのは、画面を動かすのとはまた違った喜びがあります。去年末に私が演奏するピアノとヴァイオリン演奏装置をMIDIで接続し、一緒にセッションできるような機能を開発したのですが、一通り曲を演奏できるようになったときは本当に嬉しかったです。
この装置では重音奏法が可能ですが、それぞれの弦に対するビブラートの周期を個別に設定することができます。人間だとビブラートを演奏するときは2つの弦をおさえた時でも同じ周期で手を動かしますが、この機械ではビブラートの周期を微妙にずらすことで奇妙なうねりのある音を鳴らすことができます。このような奏法がどこで利用されるかは果たして疑問ですが、「機械でしかできない奏法」を見つけたときは、それがあまりにも奇妙な音であることも相まって、とても面白いと感じました。

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終わりなき研究

ヴァイオリンのプロジェクトは2009年下期の未踏プロジェクトに採択され、未踏プロジェクトとしては終了しましたが、フェアリーデバイセズでは、その後も継続して開発が続けられています。
このプロジェクトには、大きく2つの方針があると思います。
一つは、人間がこれまで開拓してきたさまざまな演奏表現を高いレベルで再現すること。この機械から奏でられる音は、美しいと形容するにはまだまだ程遠い状況です。機械学習などいろいろな手法を取り入れながら、より良い音を鳴らせるようソフトウェアとハードウェアを改善していく必要があります。

もう一つは、この機械でしかできない表現を探求していくこと。この自動演奏装置は一つの出力装置として考えることができます。例えば、五線譜で表すのが極めて困難な曲でも入力することができます。あるいは、何らかの入力に対してリアルタイムに反応するインタラクティブな作品という形にまとめることもできるでしょう。もしそれが実現できれば、ひょっとするとヴァイオリン、あるいは人間と楽器、音楽の関係性について新しい見方を示せるかもしれません。
両者は互いに補間し合うものだと思いますが、ゴールがあるかというとおそらく無くて、どこまでも究極を目指すことになるでしょう。現状はいくつかのマイルストーンを設定しつつ進めています。新しい知見を得つつ、ぜひ論文や作品という形で発表していきたいと思っています。

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