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代表メッセージ
「音声技術が起こす未来」

Fairy Devices(フェアリーデバイセズ)は、「童話に登場する妖精たちが動かしていると思われるような、温かみのある技術を開発したい」という思いを込めて、2007年4月に創業しました。創業以来、人と機械の境界面に着目した研究開発を行っています。

各分野の専門家が集結し作るのは、人の心を温かくするテクノロジー

フェアリーデバイセズという可愛らしい社名とロゴの横に描かれた妖精のシルエット。同社は、開発理念には「使う人の心を温かくする一助となる技術開発」という言葉を、会社を表現するには「人間と機械の新しい境界を創造する会社」という言葉を掲げています。ここにはどのような意図が込められているのでしょうか?

「東京大学在学中、創薬ベンチャー企業で遺伝子創薬に関わる情報技術の研究開発に携わっていました。大学卒業後は大学院医学系研究科へ進学したのですが、病院での実習での経験が大きな転機となりました。
 たくさんの医療機械に、まさにテクノロジーそのものに、囲まれた小さな患者さんの枕元に、小さなぬいぐるみが置いてありました。その時、『ぬいぐるみは命を救えないけども、救われた命を豊かにしてくれる』そう思ったときに衝撃を受け、そんな『必須ではない』けれども、心を豊かにし温かくすることにテクノロジーを役立てることはできないのだろうかと思い、その後、フェアリーデバイセズを創業することになりました。社名には、機械の中に妖精がいるかのような滑らかで自然な使い心地を目指したいという目標を込めています。これは Fairy Inside! なテクノロジーだな、とみんなが気づいてくれるような。」

最初の製品はプラネタリウムソフトですね。

「そうですね、当時は前職を兼務していた時期でもあったので、当社事業としての方向性も必ずしも固まっていない時期でした。最初の製品は、長期入院していて病室から夜空を見上げることができない子たちに星空を届けたい、という想いだけで作った製品でした。その後、いくつかの技術開発・共同研究などを経て、聴覚というテーマにたどり着き、mimi®が生まれました。」

音声認識を手がける会社は多く、競合となる会社も世界中に数多くあるのではないでしょうか?

「まず前提として、常に新しい技術が生まれており、特定の技術が競争力を持つという時代ではありません。最新の状況にキャッチアップし続け、常に最新の研究成果を取り込み続ける継続力と人材、チームこそが競争力の源泉であると思います。
 次に、音声技術は総合技術であり、実世界で実際に役に立つものを作るためには、様々な分野の専門家が協力する必要があります。私たちは、要素技術単体で勝負したいのではなく、要素技術の研究開発は当然ながら着実に進める一方で、しかし個別の要素技術に過度に拘ること無く、私達のビジョンを体現するシステムやソリューションに落とし込んだ上で勝負したいと考えています。mimi が音声認識器だけではなく、フロントエンド技術や環境音認識器などの様々な周辺技術の集合体であるということや、Fairy I/O によってハードウェア層まで一貫したテクノロジースタックを提供しているということも、まさにこの点を反映したものです。」

「新しい仲間との出会いが、競争力を高めるだけではなく、新しい事業領域を切り開くことに繋がります。今のメンバーは情報科学や機械学習分野の専門家、音声や自然言語処理分野の専門家、心理学・対話コミュニケーション分野の専門家等、幅広い分野の研究者が在籍しています。スタートアップの醍醐味のひとつは、新しい仲間との出会いです。これからも積極的に新しい仲間を求めていきたいと思っています。」

研究とビジネスの中間で妥協のないプロダクトづくりを

プロダクトや開発スタイルにはどのような特徴がありますか?

「タイトルの通りだと思っています。学術研究の世界では、穴のない完璧な姿を作り上げて発表します。それに対して企業では、事業上の要請によっては、技術的に納得がいかないままに世に出すこともあるでしょう。我々もその課題は抱えていますが、本当にいいものを作るという点との両立、すなわち事業上の要請と研究上の要請のバランスは逐次取っていますし、複数のプロジェクトを跨いで中長期的に継続して取り組むことで、製品の完成度を高め続けることができます。
 我々は研究組織と事業組織の中間にあり、取り組んだ研究成果を、直接プロダクトに落とすことになります。そして、そのフィードバックを直接得て改善する。良いものを作る上で、必要ならばサイエンスまで立ち戻った PDCA を回すことは日常的に行われることです。」

今後の方向性を教えてください。

「人間と機械との境界面における音声入出力インターフェースというのは、昔から取り組まれてきた古いテーマでもあります。今、ブームのようになっているため、その可能性が過剰気味に取り沙汰されていますが、少なくともそのうちの一部は着実に私達の生活に定着するでしょう。
 私たちは基盤となる要素技術の研究開発を着実に進めつつ、それらの中でも特に、人間と機械との連携というところに着目していきたいと考えています。」

「例えば、少し話が飛びますが、囲碁 AI というものがあります。私も囲碁を指すのですが、ペア碁という面白い競技があります。これは二人の人間がペアになって交互に指す、二対二の棋戦です。人間と囲碁 AI がペアを組んだ棋戦というものも行われています。人間側がショボい手を指すと囲碁 AI は容赦なく無視してきます。逆に囲碁 AI の意図を考えてうまく指せば、連携した手となって奏功することもある。囲碁 AI の方が私よりもずっと強いので、より正しい打ち方を教えられているような、新しい気付きが得られる面白い体験であり、連携手が決まったときは、ごくシンプルに嬉しいものでもあります。
 これは、囲碁という特殊なゲームに閉じた世界の話ではありますが、私達が普段行っている仕事や活動でも、この例のように、機械と連携することで、私達の仕事や活動がより効率的に、かつより楽しくなる場面があるのではないか?という考えを持っています。このときに、人間と機械との境界をどのようにデザインするべきか、音声技術が果たす役割も、今以上に大きなものになってくると考えています。
  例えば、業務フローにスマホを導入したから業務効率化が為されました――、というような単純な話で終わってしまうのではなく、その先の、人間と機械との関係を深く考えること。より良い人間と機械との連携を、ハードウェア層からソフトウェア層まで一貫して考えること。 これらの点に対する回答はひとつではないでしょう。しかしながら、この方向性の先に、カーナビやスマートスピーカーが、あるいは、今は姿かたちもない未来の機械が、まさに妖精のようにやさしく人に寄り添うものになると思っています。」

フェアリーデバイセズ株式会社
代表取締役社長 藤野 真人
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